組織行動論③「政治的視点」で組織を見る
MGT345 Organizational Behavior
「政治的視点」で組織を見る手法を学んだので忘れないように記載しておこうと思う。
以下、「Managing For The Future -Organizational Behavior & Processes- Third Edition」ページM2-33~55より抜粋。
前提
組織とは、異なる関心や目的を持つ個人やグループが競争し衝突する場である
分析法 ~関心と力のマッピング~
組織における関心や力の関係は、以下の2つの視点で分析できる
ある一つの関心事項に対して、
- 誰がフォーマル、インフォーマルに力を持つか※
※フォーマルな力:指揮命令系統に沿った力で、その関心事項に対する権限を言う
※インフォーマルな力:指揮命令系統とは異なるインフォーマルなネットワークにおけるポジションの重要度を言う(詳細後述)。
- 誰が支援者で、誰が反対者で、誰が利害関係者になり得て、既に存在する提携は何か
- 将来あるべき姿はどうか(どういう力を持つ人が支援者側に回って欲しいか)
2.ネットワーク分析
ある一時点において、個人、グループが相互にどのような関係を形成しているか
- アドバイスネットワーク:問題を解決する際に誰が誰を頼っているか
専門性の流れを表し、ナレッジリーダーの素質を確認できる
- トラストネットワーク:危機に際して、誰が誰と政治的情報をシェアし、支援しあうか
信用の流れを表し、チームリーダーの素質を確認できる
- コミュニケーションネットワーク:日常業務内容について誰が誰に話しているか
情報の流れを表し、2wayであるか否か、抜けが無いかどうかを確認できる
アンケートを実施し、上記情報を収集することが可能だが、実名が求められることから必ずしも正確な情報が取れないことに注意。クロスでチェックすることが必要。従業員へのインタビューから、情報を得ることもあわせて行うことが有効かもしれない。これらの情報の取り扱いには絶対の注意が必要。
行動法
上記で組織を分析した後、ある一つの関心事項を組織内で推進するにあたり取るべき行動ステップは以下。(要は組織内で政治的に如何に動くべきか、という感じ^^;)
1.賛同を得る(手法:説得/小規模からの巻き込み/参加意識の植え付け)
2.協力者と連合を形成する(共通の関心のグループを形成)
3.以下の3方向へネットワークを形成する
- 上方:関心事項にフォーマルな権限を持つ層
- 水平:自部門以外で関心事項に関連する部門における同レベルのポジションの人
- 下方:部下、もしくは、業務プロセスにおける下流の層(あなたの仕事の結果の影響を受ける人)
効率的にネットワークを形成するには、自身が所有する価値(交渉ネタ)を理解し有効活用すること
- 報酬関係(賃金/昇進/業務アサイン)
- 仕事関係(支援/情報)
- 人間関係(理解/支援/受領)
- ステータス関係(個人の重要性、相違、名声の認識)
当然これらを遂行するにはネゴシエーションスキルの向上が不可欠である
インフォーマルネットワーク
政治的視点では、特に効率的なインフォーマルなネットワークの分析/構築が重要。
インフォーマルネットワークにおける重要事項
- Know HowよりKnow Who
- つながっている人の数より、つながっている人の重要性
- 異なる関心、情報を持つ個人、グループの間のポジションは政治的力を持つ(関心、情報の架け橋)
- 相互に情報をやり取りできる密なグループは実は非効率である
- ネットワークは時間とともに変化し欠如も生まれる
つまり時系列でインフォーマルネットワークを分析していく必要がある
最後に
この政治的視点とは、当然個々人では社会で生きていくうえで無意識に行っている見方だと思う。例えば、関心や力のマッピング(例えば、誰が意思決定者で、誰の意見がその人に大きな影響を与えるか)などは仕事を効率的に行ううえでは不可欠だ。ただ、それをマネージャが自身の組織や組織間の関係に適用し、行動しているかと言われると必ずしも「Yes」とは言えない気がする。
例えばマネージャの勝手な視点でトラストネットワークを描いて、自身を中心に位置付けているかもしれない。例えば下方にはネットワークを構築するが、上方、水平には苦手意識が働いて展開していないかもしれない。
こう書いてみると、マネージャは当然この政治的視点を持ってはいるが、組織に適用する際に自身の嗜好やスキーマで手法を捻じ曲げてしまっている気がしてきた。
一度こういうフレームワークに可能な限り従って、組織を分析し物事を推進してみると、実は効率性や有効性を高めるかもしれない。是非お試しあれ(またそれか:笑)。
夜のIndian hill通り(写真捜索中)