新庄剛志 引退 ~足りなければ補えばよい~
今日札幌で私の好きな新庄剛志の引退セレモニーが行われたらしい。 彼のデビューは鮮烈だった。初打席初ヒット初打点。初スタメン初打席初球初ホームラン。長年阪神ファンである我が家がこの新星の誕生に踊り騒いだのを覚えている。
(写真は共同)
家族みんなで彼を応援した。安定感が無くても勝負強さや思い切りがあった。 進んでおバカをやってファンに笑いや元気を与えてくれたり、勝利後のヒーローインタビューで突拍子も無いことを大胆に言ってのける彼のキャラクターも好きだった。が、実は彼は天性の才能でそれらをやってのけていたのではなく、全て努力で成し得ていたということが分かってから更に好きになった。
いつみても波瀾万丈という番組で彼が本音で話していたことがあった。 先日のインタビューで「身に着けている衣類の総額はいくらですか?」という質問に「そうですね、百万・・・ペソかな」と答え、笑いをとっていた新庄に対して、「あれは素晴らしいタイミングでしたが、自然に出たのですか」という問いがあった。
彼は「だいたい洋服の質問が来るだろうと予測し、回答を準備していました。あの間(ま)は家で何度も練習しましたよ(笑)」と答え、それまで彼の発言を天然だと思っていた皆を驚かせた。その後「じゃあ今日身に着けている服はいくらですか」と彼が意地悪く突っ込まれた際、苦笑いしながら「それはナシでお願いします」と答えていたことが、彼の努力が本物なんだなと更に認識させた。
また、番組の最後でこういうやりとりがあった。
- Q:結局、今日お話を聞いていて、新庄さんは綿密な計画のもとに全てのことを仕掛けていこうとなさってるわけですね。
- A:そうなんです、僕はね。収録の前はどれだけ寝てないか。だいたい2時間3時間ですよ。ホントに考えだしたら眠れないんです。今まで天然っぽく演技してましたけど、実はもうすぐ33になるから言いますけど、大変なんですよ。
正直かなり驚いた。もちろん私は彼が努力の人であることは知っていて、その美しいとまで思えるプレーは努力の賜物なのだと思っていたが、あのキャラを作り上げている発言の元は天然からくるものだと長い間思い込んでいたから。。
彼には、彼自身の理想像というものが強く存在する。それは人を魅了する自分だったり、人を楽しませる自分だったりするのだろう。彼は天から授かった能力では足りない部分を努力で補い、その理想像へと近づく。その努力が彼を光り輝かせ続けているように見えてならない。
足りなければ補えばよい。
異なれば変わればよい。
そんな新たな彼からのメッセージを受け、更に好きになった。引退後、彼が何を行うのかは分からないが、私(我が家)は彼を応援し続ける。
今年の日本シリーズを見れないのが非常に残念だ。 彼のこれまでを振り返ると、最後に優勝して笑っている姿が想像でき、そしてもっとも似合う。
「打てよ、新庄!」テレビに向かってよく言っていたなあ。