組織行動論④「文化的視点」で組織を見る
これまで企業文化の改善は自身の手の届かないところにある気がしていた。「うちの会社はこうだから・・・」と心のどこかで決めつけ企業文化を直視していなかったように思う。が、今回、実は組織の文化はコントロールできるという理論の存在を知り、自分の考えは思い込みに過ぎず、企業文化も改善できるかもしれないと思えるようになった。
MGT345 Organizational Behavior
先々週学んだ「文化的視点」で組織を見る手法を大事なところだけでもアップしておかないと忘れてしまう。。
以下、「Managing For The Future -Organizational Behavior & Processes- Third Edition」ページM2-57~82より抜粋。
前提
組織には、固有の文化が存在し、時に管理者の権限や影響範囲が制限されうる
組織文化の分析レベル
組織を分析する際には以下の3つのレベルで事象を捉える必要がある。
1.観察可能な人工物:組織固有の可視物全て
例)製品、サービス、企業ロゴ、オフィスレイアウト、服装、プレゼン資料、IRレポート、マナー、匂い
2.価値基準:上記人工物をそのように存在させうる価値基準
例)戦略的目標、行動規範、掲げられているイデオロギー(観念)や哲学
3.内在する基本前提: 通常は意識されない当然のこととされる、上記価値基準の基本前提
例)上下隔たりなく率直に意見しあうことが最高の結論を生むという感覚
社会的に正しいことをすることが長期的に組織を強くするという感覚
同僚は家族同様で互いに支えあってこそ充実した社会生活を送れるという感覚
例えば、企業間提携に際して、互いに3の内在する基本前提のレベルで相互理解を行わないことには、長期的良好な関係は築くことは困難である。更に企業間合併に際しては、同レベルにおいて相互理解に加えて合意形成を行わないことには文化の融合は進まず新組織として上手く立ち行かない。ということのようだ。
が、言うは易し行うは難し(Saying is one thing, doing another/Easier said than done)のようで、テキストでも幾つかその分析手法が紹介されてはいるがまだ試行錯誤のよう。
組織文化の管理手法
組織文化はどのように形成され、浸透・進化するのか。またその際経営者が操作、管理できることは何なのか。
文化形成要因
まず以下が初期の基本文化を形成する要因であり、新組織立上時には丁寧な設計が必要
- 内的要因
リーダーの関心や評価、管理、事象への反応
報酬と地位の配分基準、人材選抜・昇給・退職の評価基準 - 外的要因
組織体系、組織の意思決定プロセス
物理的空間設計、組織に関わる伝説・神話・象徴、公式に掲げられる組織の哲学
文化浸透時の変数
以下が文化の流れを左右しうる変数で、主に組織の制度や教育に関わるものから成る
- グループ主導か個人主導か
組織がどのようなスタンスで新人教育の場を提供するか。
新人訓練所で一団で学ばせチーム意識を高める訓練を行うのか
基本的に個人主導で組織に必要なものを学ばせるのか - フォーマルかインフォーマルか
整備された教育プログラムに沿って組織文化・制度の教育を行うのか
いわゆるOJTとして現場で上司や同僚から学ばせるのか - 自己再生型か自己強調型か
個々人の持つ見地を組織風土に合うよう再構築する教育を行うのか
個々人が持つ見地を伸ばす方向に教育するのか - 連続・順次型か分離・ランダム型か
示されるお手本に向かい順を追って教育するのか
その時々で必要な内容を教育されるのか - 固定か可変か
教育プロセスの各段階において時間割がキチンと整備されているのか、自由なのか - トーナメント型かコンテスト型か
失敗したものが落とされる組織なのか、成功したものが選ばれる組織なのか
面白いのは組織文化をコントロールしたいときはこの変数のバランスを変えればよいということだ。例えば能力のある人材を抱えているはずなのに創造性が発揮されない組織の場合は、上記のうち、インフォーマル、自己強調型、分離・ランダム型、コンテスト型に比重を置くことは必須のようだ。ただ、気をつけなくてはならないところは、期待している方向性には向かうが期待している絶対値が得られるかは別問題。
今後について
先週取り組んだディズニーランドのケースもそうだったが、今後我々は、ここまで見てきた3つの視点(「戦略的」「政治的」「文化的」)をベースに組織行動を分析することで、新しい時代に適応できる「新しい組織」の構築法、「新しい組織」で求められる行動スキルを学ぶことになる。
L.A.County Fairにて。素晴らしい文化例?