【書評】イノベーションのジレンマ
いわゆるIT企業に属する私にとって、“今”出会えて良かったなーと思えた一冊。 推薦してくれた先輩方に感謝。まだ読まれていない方は是非読んでみてね📚
#ちなみに著者はハーバード大学MBAで教鞭をとるクリステンセン教授です。
目次
イノベーションのジレンマ 増補改訂版 Harvard business school press
- 作者:Clayton M. Christensen
- 発売日: 2012/09/01
- メディア: Kindle版
概略(ざっくりですいません💧)
- 大企業は破壊的技術の出現に直面すると、これまで必ずと言っていいほどその新技術を担いだ新規参入企業にトップの座を追われてきた。歴史がこう繰り返してしまう理由は、優良企業が持つ資源配分プロセスにあるという。
- 当然、大企業内でもその破壊的技術の脅威に気づき、新技術開発・新ビジネス展開を検討するのだが、残念ながら資源がそれらに大々的に投入されることはほとんど無い。なぜなら、破壊的技術が出現したばかりの頃は、その技術の未成熟さから、大企業を支えている既存ビジネスの顧客は破壊的技術に関心を持たないからである。また、破壊的技術を用いたビジネスは、当初、規模や収益率で既存技術を用いたビジネスに大きく劣るからである。
- これらの結果、大企業は、破壊的技術への対応ではなく、既存技術を持続的に開発し既存ビジネスを拡大させることに資源の多くを投入することになってしまう・・・。
わかっていても投資できないこのジレンマ。顧客の声を聞くことが逆に足かせにもなりうると説かれ、昔から顧客の声を聞かねばと言い続けてきた私はかなりのショックを受けた。 ただ、渡米前、私はこのジレンマを経験してきたのかもしれないとも思う。
回顧録:自身も経験してきたこのジレンマ
今から2年前、既存のビジネスモデルとは全く異なる破壊的モデルが市場として立ち上がりつつあり、うちの事業部でも、私を含む数名の若手が中心となって新規事業を立ち上げたのだった。しかし、その市場はまだ導入期と考えられ、期待成長率は数百%ととんでもないのだが、市場規模自体は小さかった。そして当時うちの事業部における新事業の規模は既存事業のたった2%程度であった。
私は、新規事業開発担当としてこの新事業を推進する一方、計画部員でもあったことから事業部のヒト・モノ・カネの資源配分にも絡んだ。そして、この新事業にどこまで事業シフトするべきか議論に議論を重ねた結果、新事業だけでは事業部を支えられないことから、既存事業を維持しつつ、新規事業を伸ばすことを考えよう、大胆なリソースシフトは行えないと結論づけたのであった。
そう。我々はクリステンセン教授の言う優良企業の優良マネージャが行う判断をしてしまったわけだ。そしてその結果、彼の言うように、残念ながら破壊的モデルにリソースの全てを注いでいる新参企業たちが市場で力をつけてきてしまった。
MBAで学ぶべき課題
もちろんここでの苦戦は資源配分のせいだけにするつもりは全く無い。あの時自分にもっと何か出来たのではといろんな角度からも思ったりもする。限られたリソースとは言え、最適なマーケティングを行えた自信も無いし、社内のR&Dリソースを上手くサービスに結び付けることもできなかった。それらからくる悔しさがMBA志願の動機でもあった。
ただ、大企業に存在するこの資源配分プロセスとどう向き合うべきかについては学んで帰らないといけない課題というのは間違いない。じゃあどうするべきだったんだ?今後どうするんだ?というのは彼の第2弾「イノベーションの解」を読んで考えることにしようと思う。