空を行こう 〜 ミュンヘン駐在編 〜

空を行こう 〜 ミュンヘン駐在編 〜

海外生活2カ国6年目。いろんな国を訪問し、いろんな経験をして、いろんな人と出会いたい。そんな想いを募らせるうち、いつの間にかここに至りました。本ブログでは、米MBA留学及びその後の海外経験を中心に記載しています。

【書評】心はプログラムできるか 人工生命で探る人類最後の謎/ ドラえもんは創れるか

大学時代に興味があったのは、人工知能や人工生命。教授や先輩に怒られるので、間違っても研究していたとは言わないが、一応、「機械と人間の協調について学ぶ研究室」に所属していた(興味ある方はこちら)。いつからドラえもんを実際に世に送り出したいと考えるようになったかは覚えていないが、大学受験の頃にはうちの大学のこの研究室に入ると決めていた。おかげで大学受験も、研究室を決める大学院受験も必死になることができた。

(ここから先、教授や先輩に呆れられること間違いないが😅)それにもかかわらずである。3年間その研究室に所属して感じてしまったのは、私の生きているうちにはドラえもんは創れないのでは、ということだった。マラソンに例えると、ドラえもんを作るのがゴールなら当時はスタート地点から1kmも走っておらず、そして私が一生かけても5kmも進まないかもしれない、と感じてしまったのだ。(ちなみに、ここで私がドラえもんと言っているのは、ホンダのアシモのような人間を真似て動くロボットのことではなく、人間と同じような感情や理性、つまりは心を持つロボットのことである。) その後私は就職活動を行い、それではドラえもんに描かれている「人々が幸せに暮らす22世紀」を創ってやろうと思い、IT企業に就職することとなる。

 

さて、前置きが長くなったが、最近読んだ本が「心はプログラムできるか 人工生命で探る人類最後の謎」。私が選ばなかった道で、この約10年間にどのようなことが起こったかを知りたい、という誰でも持つ好奇心からだった。 読んだ感想としては、当時から1kmくらいは進んだかも、という感じがして少し驚いた。やっぱり面白い領域だなあとも当時を思い起こした。それと同時に、ゴールまでには10kmくらいのとてつもなく広く深い溝があり、それを飛び越える何かがいるんだろうなぁとも感じた。そう、映画ターミネーターで未来からの落し物を手がかりに一気に技術が進歩したような何かが。そう、(オフィシャルでない)ドラえもん最終回にあるように、のび太が未来からきたドラえもんを元に研究を進めるような何かが。

また、その溝を飛び越えたとしても、ターミネーターでのスカイネットiRobotにおけるVIKIのように、人間を脅かすロボットが生まれてしまう可能性も大きい。なぜなら、この領域での進化を望むためには、現在の人工生命の研究がそうであるように、プログラム自身が人間の想像を超えるように自動的に進化・学習する手法を取り続けざるを得ない、と思うからだ。要は、突然変異が起こるようにプログラムが組まれ、人間が期待する方向にのみ進化が進むことにはならないということである。

ドラえもん創造への道は険しい。でも、やっぱり心のどこかでまだ、いつの日かドラえもんに会えることを期待している。研究は他人任せになってしまったけれども、今の仕事をやってる限り、必ずどこかで貢献できるとも実は思っている。

卒業式まで後28日。 インテンシブ(6時間×4日)のマーケティングストラテジーに苦悩する日々がようやく終了。