空を行こう 〜 ミュンヘン駐在編 〜

空を行こう 〜 ミュンヘン駐在編 〜

海外生活2カ国6年目。いろんな国を訪問し、いろんな経験をして、いろんな人と出会いたい。そんな想いを募らせるうち、いつの間にかここに至りました。本ブログでは、米MBA留学及びその後の海外経験を中心に記載しています。

【書評】ルポ 貧困大国アメリカ / 米史最低の支持率で幕を閉じるブッシュ政権①

 2年間も住んでいながらアメリカという国を全然理解していなかったように思います。「ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)」は、ブッシュ政権新自由主義という旗のもとに「教育」「いのち」「くらし」という国民に責任を負うべき政府の主要業務を民営化してきた結果、アメリカという国がどうなってしまったのかを詳しく教えてくれます。

なぜクレアモントで出会うアメリカ人のほぼ全てがブッシュをあそこまで批判していたのか、ようやくわかった気がしました😢 

例えば教育の民営化🏫です。ブッシュ政権が行った教育改革法は、アメリカの学力が国際的に遅れをとってきたことから採択された法律です。教育に競争を取り入れ、良い成績を出した学校にはボーナスを出し、悪い成績を出した学校は助成金が削減されるなどの処置を受けることになりました。結果はひどいものとなりました。 貧しい地域の学校は優秀な教師を雇えず学生の学力も上がらなくなりました。学力が上がらないため国からの補助金もカットされ学校の魅力が落ちて学費を高く徴収できない、という負のスパイラルから抜け出せなくなりました。コスト削減のために給食がジャンクフードになり、栄養を給食に頼っている貧困家庭の子はみな肥満児となっていきました。なんと現在、ニューヨーク州の公立小学校に通う生徒の50%が肥満児とのことで、2010年には全米の50%の小学生が肥満児となってしまうとのことです😣 

貧しい高校、短大は助成金を得ることを目的に、米軍に学生の個人情報を提供することにもなりました。米軍は大学奨学金を餌に貧困学生をリクルートします。貧困学生は貧困から抜け出す唯一の選択肢として入隊せざるを得ず、結果、バグダッドやアフガンなどの最前線に送られてしまったとのことです。イラク戦争が開始された2003年に米軍がリクルートした新兵の数は21万2000人、そのうち3分の一にあたる約7万人がそういった高卒の若者とのことです。ひどいことに、1200ドルもの頭金が必要な仕組みということを入隊後に知らされるのがほとんどで、それを払えるものは少ない。そして実際に奨学金が支払われるものは約35%になってしまっているそうです。また、派遣兵の約6分の一が深刻な精神障害PTSDなどにかかって帰還するそうですが、もともと貧困だったものは、学費どころか医療費すら払えずそのままホームレスになってしまうケースがほとんどだそうです。

米史最低の支持率で幕を閉じるブッシュ政権②へつづく

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ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)

ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)

  • 作者:堤 未果
  • 発売日: 2008/01/22
  • メディア: 新書