【書評】微分・積分を知らずに経営を語るな (PHP研究所 内山 力)
前回の「その数学が戦略を決める」がかなり面白かったため、同じ数学×ビジネス系の本書を購入しました。数学初心者にはこちらのほうが読みやすく、微分・積分&統計を用いたビジネス感覚を掴むには良いかもしれません。ただ本書では、微分・積分計算式やエクセル活用法などの説明が全くありませんので、実際にビジネスに適用する際には少々数学の知識(というかエクセルの知識?)が必要になると思われます。
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利益管理の例:販売数量 2次曲線の微分係数が限界利益!?
損益分岐点を計算する際に、横軸に販売数量、縦軸に利益をとる座標に右肩上がりの直線を引いた図をを良く見かけますが、これは限界利益(販売数が1増えるに伴い増える利益)が一定という仮定のもとでの話です。
しかし実際のビジネスではボリュームディスカウントや習熟曲線などが適用され規模の経済が働き、グラフは右肩上がりの曲線(2次曲線のようなもの)になります。さあこのときの限界利益はどう計算できるでしょうか、という具合です。
答えは、、、
各販売数量における曲線の接線の傾き(2次曲線の微分係数)が、限界利益になります~。
って限界利益の定義から考えれば当たり前なのですが、これまであまりビジネスに出てくるグラフを微分・積分してやろうと考えたことがなく、意外に新鮮でした😀
その他、在庫管理、価格決定、品質管理などにおいても、数学的な考え方で丁寧に具体例を挙げ解説してくれています。おかげで今実際に企画中の事業にも数学頭で取り組めそうです。
感覚的に理解しておきたい事柄(メモ)
- 標準偏差を小さくできれば在庫が減る(P100)
- 人間が外から受ける刺激は対数的だといわれており、マグニチュード(地震)、デシベル(音)などは10をベースとした対数を使っています。マグニチュードは地震の揺れが「10倍になると1増える」という感じです(P175)
- 習熟曲線は累積生産量が2倍となるごとに、一定比率のコストダウンがなされるという特徴を持っています。200個作った時点の原価が100で、400個作った時点の原価が80となり20%のコストダウンになったのなら、800個の時点ではさらに20%のダウン、つまり64になるということです(P180)
結構面白いでしょ!?
今なら77円で買えるそうです・・・