空を行こう 〜 ミュンヘン駐在編 〜

空を行こう 〜 ミュンヘン駐在編 〜

海外生活2カ国6年目。いろんな国を訪問し、いろんな経験をして、いろんな人と出会いたい。そんな想いを募らせるうち、いつの間にかここに至りました。本ブログでは、米MBA留学及びその後の海外経験を中心に記載しています。

遊びのボランティア

今回はNPO法人病気の子ども支援ネットを紹介します。僕は昨秋から月一回、このNPO法人が提供する遊びのボランティアに参加しています。小児がん白血病などを煩い院内で長い闘病生活を強いられる子どもたちに遊びを提供するというもので、新宿のとある大病院の小児病棟が活動場所になります。

幼いお子さんを深刻な病で長期入院させるとなると、子どもだけでなくそのご家族も大変な苦労を強いられます。特にお母さんはほぼ毎日朝から子どもが寝入る時間までつきっきりでともに過ごす必要にせまられ、ご自身の時間を持てない方がほとんどです。病気の子どもたちは院内という限られた空間での生活にストレスをため、そのストレスをぶつける対象となるお母さんもひどいストレス環境下におかれてしまうという悪循環に陥るのがほとんどです。

そんな中、僕たちの遊びのボランティアは、いろんなおもちゃを持っていって子どもたちの個室を訪れ思いっきり遊びます。長期入院の子どもたちは、新しい遊びと刺激を運んでくれるボランティアを楽しみに待ってくれていることが嬉しいです。一方、お母さん方からは、銭湯に行ったり買い物をしたりできて本当に助かる、と非常に感謝され、こちらもとても嬉しく感じます。僕たちは「是非コーヒーでも飲んでゆっくりしてきてくださいね」と送り出すようにしています。

ちょうど昨日も参加してきたのですが、今回新しく2名のボランティアが加わりました(全部で約70名、毎回15名ほどが参加)。お二方とも1年前にお子さんを病気で亡くされたお母さんで、一人はこの遊びのボランティアにお世話になったそうです。子どもを亡くすというのはどれだけの絶望なのでしょう、計り知れません。彼女らの体験を聞いているだけで涙でいっぱいになりました。そういった絶望からただ立ち直るだけでも大変なのに、彼女らは自らの体験を活かし、同じ環境で苦しむ方の力になりたい、とこの活動に参加されたのです。彼女らに心から敬意を表さざるを得ません。いつも活動の後、病院の食堂で一緒にお昼ご飯を食べるのですが、みなさんいろいろな知識・スキル・経験・考え方をもたれていることに驚くことしばしばです。僕自身にとってこのNPOは本当にありがたいコミュニティとなっています。

さて、僕たちにとってはたった2時間の遊びでも、その子にとっては一生に数え切れるほどしかない遊びのうちの一回かもしれないということを述べておきたいと思います。そういうことからお互いにとってこの遊びは非常に大切な時間であり、「子どもの相手をする」という程度の気持ちでは申し訳なく、僕らはいつも本気になって遊び、僕ら自身も心底楽しむようにしています。マスクをしていようが、点滴をしていようが、そこはやはり子どもです。遊びとなると、すぐににこにこ、ぎゃーぎゃー、賑やかな空間に変わります。そんな彼ら、彼女らに逆に元気をもらったり、生きる意味を考えさせられたりする日々です。

#もちろん半年ほどで回復されていかれるお子さんも大勢いらっしゃいます。