空を行こう 〜 ミュンヘン駐在編 〜

空を行こう 〜 ミュンヘン駐在編 〜

海外生活2カ国6年目。いろんな国を訪問し、いろんな経験をして、いろんな人と出会いたい。そんな想いを募らせるうち、いつの間にかここに至りました。本ブログでは、米MBA留学及びその後の海外経験を中心に記載しています。

【訪問国14:インドネシア】ラマダン前に警察に連行されかけた話

ジャカルタは活気があって成長感もあるとても魅力的な都市です。出張で計11回訪れましたが、会う人みんな人懐っこく親日でとても親切。本当にいい思い出しかありません。そう、ラマダン前の深夜に警察と対峙したことを除けば・・・。ここでは主に警察に強請(ゆす)られそうになったトラブルについて記載しています。皆さんもお気をつけて。

深夜の検問:警官に囲まれる恐怖の中、連行されないよう知恵を絞る

2014年6月。ちょうどこの年のラマダン(断食月)前にあたる期間のことです。

 

明け方の午前4時、一人でタクシーに乗って空港に向かう途中、数人の警官に車を止められました。検問をやっているようです。警察にIDを見せるよう言われたため、パスポートとビザを提示し、日本から出張で来ている旨を伝えるも、「もう一つのID "XXX*1" を持っていないのはおかしい。署まで来なさい。」と強い口調での指示。そんな話は聞いたことが無くこれは怪しいと思い「確認するから待ってくれ」と警官に伝えました。

 

一緒に出張で来て別行動となっていた同僚に急いで電話で相談したところ、「何か別のIDが必要とは聞いたことがない、日本大使館に連絡を取るのが良いだろう」となりました。しかし、急ぎ大使館に電話をかけるも明け方だからか全くつながりません。その間もタクシーのドアは開きっぱなしで、複数の警官は執拗に「タクシーを降りろ、こっちに来い」と言い続けます。

降りたら最後、連行される。お金を取られるくらいで済めば良いが、最悪、何かの冤罪をでっち上げられて留置所に入れられでもしようなら・・・かなりヤバイ。

といったことが頭の中を駆け巡り、「確認しているからもうちょっと待ってくれ」と粘り続けていました。

 

肩を掴まれて降ろされそうになったりと、どんどん恐怖は増していきます。僕が次に行ったのは「罰金なら今払う」と財布を見せたことでした。しかし手持ちの現金が少なかったせいか、警官に「そんなのは求めていない」と言われました。

ふと前を見ると、他のタクシーも複数台止められていて、その中からは日本人らしき人も降ろされ、どこかに連れて行かれています。もう僕はとにかくハッタリで「今大使館と繋がって話をしているから待ってくれ」と伝え、会話しているフリを続けました

 

タクシーが止められてからどれくらい時間が経ったのでしょう。計20分くらいでしょうか。全く生きた心地はしませんでしたが、しばらくして「もういい、行け」と解放されました。

タクシーが走り出してから、僕はパスポートや財布など持ち物全て無事であることを改めて確認。そこでようやく「助かった・・・」と安堵できたのでした。

 

警官からの強請りや連行から身を守るためには?

その後タクシーの運転手とも話したところ、彼は警官に「彼(僕)はパトカーの番号を見て大使館に伝えているようだ」とインドネシア語で言ってくれていたようでした。

翌朝、大使館に事の次第を連絡。大使館としては以下の対策を案内しているようです。

  • その場ですぐ大使館に連絡する
    (深夜でもつながるらしい・・・ホント?)
  • パスポートは見せても渡さない
    (逆に怪しまれそうだができるか?確かにパスポートを持っていかれたらついていかざるを得ないが・・・)
  • 相手の身分を確認し、名前や車のナンバーなどとともに相手の発言を記録し、その行為を相手に気づかせる

確かに、彼らだって仕事や家庭を持つ身。こういった行為が公になるのは避けたいと思うのは当然です。こう考えると、タクシー運転手の上記一言で助かったのかもしれませんね。

 

インドネシアで働く知人もたまに似たような経験をするようで、以下の対応を取るようにしているとのこと。

  • 英語がわからないフリをして、日本語で通す

  • 毅然とした態度で断り続け、面倒臭い奴だと思わせる

以上、新興国に滞在するときの心構えとして、ご参考になれば幸いです。

 

で、結局なんだったのか:恒例のラマダン前のお小遣い稼ぎ

上述の知人曰く、恒例のラマダン(断食月)前のお小遣い稼ぎ、だろうねとのこと。

インドネシアでは、ラマダン(断食月)とその後のレバラン(断食明け大祭)の期間には、多くの人々が地元に帰ってお土産を渡す習慣があるらしく、いつもラマダン前には特に警官でタチの悪い輩がよく検問して強請(ゆす)りを行ってくるそう。

まじ!?「警官ってインドネシアでは尊敬される職業ではないからね〜」って、いやだからってやり過ぎでしょう・・・

 

現地人の友人にも話したところ「残念ながら連れていかれたらお金を要求されていたと思う。こういうことは国として本当に残念だ」ととても嘆いていました。

 

感想:人への猜疑心が生まれる・・・ / 不用意な行動を反省・・・

こういったことは新興国では幾らでもあることなのでしょうが、このジャカルタの影の部分を自ら経験することで、 "人への猜疑心" が生まれてしまい、とても残念な気持ちになりました。それまではジャカルタで出会う人全て、人懐っこくて優しくて親日で・・・それはもうどんどん友達が増えていっていたものですから。一方で、新興国の現実を知り、再び気を引き締めるきっかけにもなった、と前向きにも捉えています。

 

僕自身が反省する点も大いにあります。この時はラマダン・レバランに加えて大統領選挙が近づき不安定さが増している時期で、それは出張前からもわかっていました。それにも関わらず、深夜・明け方の移動を要する無茶な日程を組み、不用意に一人で行動してしまった。これらのことが自らに災いを招いてしまったとも考えています。

 

(おまけ) 楽しい思い出:半端ない成長感 / 大渋滞 / スコール / 携帯キャリア開拓

そうは言っても、ジャカルタは、新規事業開発で東南アジアを飛び回っていた時期の中心地の一つ。エキサイティングで楽しい思い出もいっぱい詰まっています。以下、当時の写真とともに簡単に紹介していきます。

 

いつ来ても発展している街

ジャカルタに来るといつも心が躍ります。来る度に街の至るところが変わっていて成長感が半端ないからです。半年来ない時がありましたが、いつも泊まっているホテルも改装されていてロビーの階まで変わっていたくらいでしたから・・・

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大渋滞

ご存知のようにジャカルタの渋滞はひどいです。自動車の台数が多いのも理由の一つですが、僕が思うに交通網の作りがあまりにもイケテナイ。簡単に右折ができない仕組みになっているんです。もっと計画的にできなかったのか?

ある時「あ、この右側の建物が打ち合わせのビルだ〜意外と早く着いたな〜」と思ってから、到着するまで1時間半くらいかかったことがあります。タクシーはどこまで行っても右折ができず、延々と続く大渋滞の中、のろのろと直進するのみ。だいぶ行ったところでようやくUターンする箇所がありそこから延々渋滞の中をのろのろ戻って、ようやく左折する。みたいな😂

結局タクシーに2時間以上閉じ込められました。乗る前は必ずトイレにいきましょう・・・。

さて、この大渋滞のせいか、国民性か、その掛け算か。打ち合わせにはどれだけ遅れても文句は言われませんし、相手もどれだけでも遅れてきます。お互い時間内に到着できず、2時間遅れて開始した会議もありました。シンガポールでは通常1日4〜5社面談できますが、ジャカルタでは1日2〜3社が限度ですね・・・f:id:goakashi:20201024002101j:plain

 

突然のスコール

シフトチェンジの時間にはどのタクシーも止まってくれません。道路脇は大雨で水浸し状態だったので、この時は諦めてカフェで仕事をしていました。

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携帯キャリア開拓

ネットワーク関連の新規事業開発を行っていたので、現地の携帯キャリアやインターネットサービスプロバイダなどをよく訪問していました。そのため現地のネット事情に詳しくなる必要があります。

そこで、当時話題だったインドネシア初のLTE回線 BOLT! Super 4G LTE を20分間列に並んで購入。基地局が順次建てられている状況だったため、ネットワークのつながりや強度にバラつきはありましたが、場所によっては10Mbps程度の速度がでてかなり快適でした。

3,000円弱でZTEルータが買えて初月は8GB付。翌月からは月250円で2GB使用可能。

って…ジャカルタエリア限定(他エリアローミング無し)とはいえ安すぎでしょう。これでタクシーに閉じ込められても怖くないぞ~!って一人盛り上がっていました😀f:id:goakashi:20201024002347j:plainf:id:goakashi:20201024002404j:plain

 

リクルート転職後もすぐジャカルタを訪問できたのは幸運でした。でもあれから5年もジャカルタを訪れていないため、今ではもう全然違う都市に生まれ変わっていそう。再訪するのが本当に楽しみです❗️f:id:goakashi:20201024002457j:plain

 

*1:キタスかマルチプル、NPWPのいずれかだったのでは、と後でインドネシアの知人に言われる。ただそれらはオフィスや工場以外で提示する必要はないものとのこと。

 

現在、過去を振り返って訪問国を確認中。インドネシアの次はフィリピンでした!

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