【書評】下町ロケット (池井戸潤)
前回「半沢直樹 アルルカンと道化師」を聴いて、元銀行員のバックグラウンドを生かした池井戸潤氏の作品にハマった僕ですが、今回は直木賞を受賞した「下町ロケット 」のオーディオブック版を聴いてみました。正直、アルルカンと似たようなストーリーに思えましたが、それでも面白くて一気に聴き終えました。
目次
- 聴いたきっかけ:Audible会員特典・無料ボーナスタイトルとして本書が付与
- 「下町ロケット」と「半沢直樹 アルルカンと道化師」のストーリーが類似
- Cool Head but Warm Heart な殿村経理部長がとても魅力的
聴いたきっかけ:Audible会員特典・無料ボーナスタイトルとして本書が付与
先日Amazonから案内があり、なんと今月からAudible会員特典が増えて、以下の2番が加わったとのことでした。
で、今月のボーナスタイトルが「下町ロケット」だったというわけです。
最初は「これって僕が池井戸潤氏の「半沢直樹 アルルカンと道化師」を購入したから、興味あると思ってAmazonが指定してきたんでしょ?」と思ったのですが、ログアウトしても同じボーナスタイトルが表示されるため、どうやら全国一律にこのタイトルのようです。
本書の朗読は 11時間 3分とかなり長めで、少し寝不足になりながらも平日の2−3日で一気に聴き終えることになりました(1.8倍速)
「下町ロケット」と「半沢直樹 アルルカンと道化師」のストーリーが類似
本書のストーリーは「半沢直樹 アルルカンと道化師」に似ていると感じました。池井戸潤氏の作品はこの2冊を読んだだけですが、他も以下のような感じなのでしょうか。
- 中小企業が何らかのトラブルに巻き込まれることで、メインバンクの融資を渋られ、財務的に苦しい状況に追い込まれていく(しかも誰かの悪意があって)
- 一方、その企業には実は隠された秘密または輝きがあり、主人公らが努力することでそれらを世に出して行く
- その企業を小馬鹿にしていた金融機関や大企業(の一部の悪代官)が最後に大きなしっぺ返しを食らう
ストーリーが似ているからといって面白くないという話ではなく、その逆。めちゃくちゃ面白かったです。
- 判官贔屓で応援させ、一つの光明に期待させ、倍返しで感動的勝利を味わせる
うーん、この鉄板ストーリーを持つ著者は天才ですね・・・。
Cool Head but Warm Heart な殿村経理部長がとても魅力的
ロケットエンジンへの思いを相手にダイレクトにぶつけて行動していく主人公の佃社長もキャラがたっていますが、不器用だけど熱い思いを秘める殿村経理部長もキーパーソンかなと思います。
ジェットコースターのように激しく会社の状況が変わる中、感情的になったり浮足立ったりするメンバーも多いのですが、殿村部長は、常に本質を捉えた問いを投げかけたり、数字を元に冷静に悪代官と対峙したりするところがあり、とても魅力的でした。
例えば・・・
特許売却の是非
- 今特許を帝国重工に売ることが本当に当社にとってベストの選択なのか、純粋にそのことを考えて頂けませんでしょうか。短期的には資金繰りが助かった方が私は楽です。でも長い目で見たときに本当にそれでいいとは私には思えないんです。
特許使用料 vs 部品供給
- どっちの選択が10年先の佃製作所にとってメリットがありますか。もしうちがロケットのエンジン開発を手がけたことで新たな事業に結びつくのなら、その規模はどれくらいなのかなと思いまして。(中略)ビジネスの広がりというか可能性を考えたとき、一時的に金をもらってもうあとは傍で観ているだけというのはチャンスを逸している気がします。
帝国重工の田村氏による財務評価
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何か勘違いされていませんか、田村さん。こんな評価しかできない相手に我々の特許を使って頂くわけには行きません。そんな契約などなくても我々は一行に困ることはありません。どうぞお引き取りください。
彼のように常に Cool Head but Warm Heart でありたい。そして本書の佃製作所のメンバーのように、人生をかけてでも実現したいことに組織みんなで取り組む。これが本当の幸せなのだろうなぁと思います。
さて、下町ロケットのストーリーはまだまだ続くようですが、僕の中ではだいぶ勉強&モチベーション向上させてもらったので、ここで止めておきたいと思います。近い将来、人生にガソリンが必要になったときに、下町ロケット第2話以降に時間とお金を投資させて頂くことにします。
Amazonの思い通りにはならないぞ、と😁