空を行こう 〜 ミュンヘン駐在編 〜

空を行こう 〜 ミュンヘン駐在編 〜

海外生活2カ国6年目。いろんな国を訪問し、いろんな経験をして、いろんな人と出会いたい。そんな想いを募らせるうち、いつの間にかここに至りました。本ブログでは、米MBA留学及びその後の海外経験を中心に記載しています。

【書評】ハック思考 最短最速で世界が変わる方法論(正しく賢くズルをする)

僕が働くリクルートには卒業生含めてバケモノが沢山います。最たる例がこの本でも紹介されるホールディングス取締役出木場さんですが、著者須藤さんも間違いなくその一人でしょう。これらの方々の共通点は、物事の本質を見極めるための鋭い問いを常に投げてくること。彼らと対峙することは正直とてもプレッシャーですが、それが会社やメンバーの成長を押し上げる要素の一つになっています。

このハック思考では、KAIZEN PLATFORM CEOの須藤憲司(通称スドケン)さんが自身の経験をベースに「ギアを上げて大きな成果を得る考え方」を紹介しています。ご本人は別記事で「知恵を絞って正しく賢くズルをすること」とも説明しており、僕自身に足りないのはこの「ズル賢さだな〜と学び多い本でしたので簡単に紹介させて頂きます😅。

目次

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購入・レビューのきっかけ:この人めっちゃズル賢いわ・・・

僕はAmazon Audibleの会員(月額1500円)で、ランニング中にいつも読書?をしています。月に1冊オーディオブックを購入できることに加えて、News Picksアカデミアという著名人のインタビューやセミナーが聴き放題の会員特典もあり、とても重宝しています。

そのアカデミアにスドケンさんのハック思考・出版記念インタビューがあり、何気なく聞いていたのですが、リクルート時代に新事業を企画している時の話として

  • 直属の上長にプレゼンレビューを依頼しても「構成を見直した方が良い」とか「データ補強した方が良い」とか散々言われ、尖った企画が丸くなるだけ
  • だったら、興味あって応援してくれそうな上層部を誰か探して、その人が機嫌良さそうな日に的を絞って説明に行った方が企画が通る確率が上がる

と話していたのです。インタビュー中わんさわんさとそんなケースを話している訳ですから、僕は「うわ〜この人めっちゃズル賢いわ。僕に足りない部分で学ぶことが多いはず!」と思い、オーディオブック購入を決めました。

amazonレビューの評価は賛否両論ですが、真面目に生きてきた人にこそ(?)気づきが多いのではと思います。少なくとも僕は買って大正解でした。

Audible (オーディブル) - 本を聴くAmazonのサービス

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  • 発売日: 2020/09/15
  • メディア: アプリ
 

 

ハックとは:転換効率を劇的に高めること

僕は受験勉強にどっぷり浸かった派でしたが、そういう人ほど、とかく目の前の問題を解決することに努力しがちです。

ですが、スドケンさんは、自転車を漕ぐのに一生懸命になるのではなく、ギアを変えて一漕ぎで進む距離を伸ばすことを考えよう、つまり転換効率を上げることに集中しよう、と説きます。この言葉、とてもわかりやすくて脳裏に刻まれました・・・🤓

ハックの定義

  • 同じインプットから大きな成果を得られるよう転換効率を劇的に高めること

小学校の時、ギアチェンジできる自転車を買ってもらって感じたあの感覚。仕事でも人生でも多くの場面でギアチェンジできる可能性があると、常に頭に置き、自身に問うていかねばなりません🚴‍♂️🚴‍♂️🚴‍♂️

 

ハックのステップ:人と違う規則性を見つけてスキマに介入する

スドケンさんは幼い頃偉人伝の漫画が大好きだったそうですが、その全てが一つのストーリー「世の中の人とは違った目で世界を見つめていて、その視点が正しいと後から世の中の人が気付いた」 に集約されることに気付いたそうです。マジだったらやばい子供だな・・・😅

そこから彼は一貫して、世の中の常識を疑い、人々がまだ気付いていない真の因果関係を探し続けてきたそうです。

世界をハックするステップ

  1. 人と違う規則性や法則を見つける
  2. その規則性や法則を構成するシステムのスキマに介入する

本書では、「エレベータの待ち時間を減らす」という問題に対して、「各階のエレベーターの前に鏡を置く」という例で説明しています。

 

真の因果関係の見つけ方:観察・考察・推察・洞察

スドケンさんは「世界をハックするには既存のルールを理解することが大事」と説きます。そりゃそうでしょ〜とも思いますが、日々目にする様々な事象を構造的に捉えることは実はとても難しく、気を抜くとすぐに目の前の問題(ドラッカーに言わせると症状)に取りかかってしまうため、物事を構造的に捉えることを習慣化しないといけません。

真の因果関係の見つけ方

  • 観察:変化を見つける
    (蕾だった朝顔が朝に咲いた)
  • 考察:観察から法則や規則性を導き出す
    朝顔は朝に咲くのだろうか)
  • 推察:考察によって導いた法則や規則性の転用先を探す
    (全ての花は朝に咲くのだろうか)
  • 上記を繰り返し、それぞれが導く変化・法則・転用先の精度を高めていく
    (朝に咲かない花もある、なぜ朝顔は朝に咲くのか、真の法則は何だろう)
  • 洞察:上記3つを同時に行うことで、目の前で現実に起きた事象と全く異なる因果関係に気づく
    (花の花粉を運ぶのが虫であるという法則から、花の開花時間は花粉を運ぶ虫の活動時間とあっているはずと推察する。更に朝に活動する虫が少ないと推察できれば、朝顔の受粉には虫の助けがいらないのかも、と洞察する、など)

 

ギアをあげる投資例:ブースト広告

スドケンさんは、リクルート時代に毎年60億円のマーケティング費用を投下してきた経験から、マーケティングの4Pにおいてもっとも重要なのは、Place (流通チャネル)戦略だといいます。

  • 必ずしも良い製品が良い売り場・良い棚を獲得して売れていくのではない
  • 良い売り場・良い棚を獲得したから売れていく、という逆の因果関係もあることを理解しなければならない
  • アプリのブースト広告(一時的にランキングをあげる施策)などは、ギアをあげる投資の最たる例

 

出木場さんの言葉:あるべき方向へ世界は落下している

長くなってしまいましたので、出木場さんの言葉で締めたいと思います。

以下は、スドケンさんが新規事業で目標達成に苦しんでいるときに出木場さんに言われたことのようです。

『最近気付いたことがあるんだよ。本来あるべき方向に向かって世界はすごい勢いで落下しているんだ。いろんな既得権益を持った人たちが抵抗勢力になって邪魔するんだけど、それは重力に逆らうようなものであまり意味がないんだよ。だって世界が落っこちていくスピードの方が圧倒的に早いんだから。だからさ、その落下する方向を俺たちは真剣に見定めて先に落下していくべきなんだよ。だってどうせ落下していくんだからさ、先に向かった方が絶対にいいんだよ。俺たちがやらなくたって誰かがやるぜ、だってそもそも落下しているんだから。』

マジか〜、負けないように頑張ろう・・・💪💧

 

#巻末付録には以下の例題とスドケンさんならこう考えるという案が記載されており、トレーニングにはもってこいです。ご参考。

Q1「退学率を減らすにはどうしたらいいか」
Q2「温泉施設のチェーンでの会員の予約率を高めたい」
Q3「大規模な営業組織の売上を高めたい」
Q4「金融機関でローン審査が通った人の貸し出し率を高めたい」
Q5「会員登録フォームで、登録完了までのCVRを上げたい」
Q6「婚活マッチングアプリでマッチング率を上げるには」
Q7「観光客を増やしたい」
Q8「内定辞退率を下げたい」
Q9「ある特定のアイテムを売りたい」
Q10「通勤渋滞を緩和するには」
Q11「新規顧客を開拓するためには」